医薬品マーケティングのための強力なアナリティクス

事例

  • グローバルの利益を最大化するためのグローバルリソース配分

    背景

    ある製薬企業では、プライマリーとセカンダリーケア両方においてプライオリティーがA1とされる9製品があり、最近まで各市場、地域、そしてグローバルのブランドマネージャーが管理していました。製品の業績は様々で、ブランド全体の全社的な利益がなかなか把握できませんでした。理解しようにも、従来の分析手法では困難です。この企業は世界107カ国で事業を展開しており、様々な製品、カテゴリー、国の組み合わせを考慮すると、収集すべき情報量が膨大となります。

    プロセス

    データ収集プロジェクトに4ヶ月集中し、数量的に、かつまたは成長の可能性の観点からプライオリティーの高い市場を調査しました。各国のクライアント企業には積極的に協力してもらい、それぞれの市場におけるマーケティングチームによるその市場特有の問題を洗い出して初めて調査を実施するようにしました。

    調査完了後にユーラリスのプロセスを適用しました。まず成長要因を特定するためにカテゴリー内の検証を行い、各カテゴリーにたいして予測的アルゴリズムを適用した後に、各国の各製品ごとの分析を行い、真の成長機会がどこにあるかを特定しました。分析したすべての製品と国から最も成長の可能性が高いものを、主要な利害関係者を考慮しながらさらにメッセージや戦術レベルまで掘り下げて分析しました。その結果この企業ではリソース配分と成長可能性が合致していなかったことが判明しました。

    洞察

    1. 成長の可能性が低い北米と日本において投資が大幅に過剰でした。これらは製品にとって重要な市場ではありましたが、企業の利益を考慮すると、投資率は正当化されるレベルではありませんでした。

    2. 一方で成長の可能性が高いアジアと中南米においては投資不足でした。本来であればグローバルのマーケティング予算の34%が必要とされるところが24%しか投下されていませんでした。

    3. マーケティング予算の大部分が3つの製品に集中していましたが、それらはすでに成長済みで、その他の「小さい」A1ブランドのほうが今後の成長が期待できます。またポートフォリオ間および地域間でのバランスも悪く、それらを是正することで大きな利益成長が見込めました。

    行動

    こうした問題に対処するため、クライアントはアナリティクスの推奨どおりにポートフォリオおよび国横断的な全体予算の配分を見直し、さらにはグローバルの成長を最大化するために各国のそれぞれのブランド毎に個別の営業とマーケティング活動に対する予算も再配分しました。アメリカでの投資をよりリターンの大きな市場への投資に振替えました。それは必ずしも容易なことではありませんでしたが、投資家に対して企業と業界が直面していたあらゆる問題を考慮した上で、グローバルのCFOが必須と判断した結果でした。

    結果

    2年後、良い結果が出ました。プライオリティーの高いA1製品と市場において成長率は継続的に高く、競合を上回っていました。重要なのは、売上げ成長だけではなく、利益も向上したことです。投資家からも高く評価され、不況にも関わらず株価が上がりました。

    このクライアント企業ではユーラリスのグローバルの結果をイントラネットにアップし、各国のチームがそのデータを自由に参照して様々な比較ができるようにしています。

  • 患者アドヒアランスプログラムを実施しても慢性疾患領域でのアドヒアランスが向上しない

    背景

    ある企業に収益性の高い治療領域で高い売上げを誇る主要製品がありました。しかしコンプライアンス率が50%程度に留まっており、そのブランドチームはもしこれが少しだけでも改善できれば年間成長率が徐々に低下しつつあるこの製品の利益の向上につながり、CMOとCFOが満足できる結果になることを認識していました。ショートメッセージ(SMS)で患者に服薬のお知らせを送るなどのコンプライアンス向上プログラムをいくつか策定し、かなりの予算も投下しましたが、いずれも実際のコンプライアンス向上にはつながらず、リソースの無駄遣いに終わってしまいました。

    プロセス

    クライアントは94.8を使って対象ブランドのコンプライアンスに影響する要因を精査し、それらの相対的な重要性を特定しました。

    • 製品の特性
    • コンプライアンス不良の原因
    • 無意識のコンプライアンス不良
    • コンプライアンスまたはアドヒアランスプログラム
    • 心情的な要因

    これらのデータは検証され、予測的分析を実施しました。

    洞察

    • 1. コンプライアンス不良が無意識であればショートメッセージでの服薬お知らせプログラムなどは適切だったかもしれませんが、このブランドのコンプライアンス不良は特定の心情的要因が主な理由でした。
    • 2. 実際のアドヒアランスに有効なのは現在の8つのプログラムのうち2つだけでした。

    ブランドチームはアドヒアランスプログラムのキーメッセージを変えて実際のアドヒアランス不良要因に焦点を当てるようにし、アナリティクスの推奨にもとづいて患者に響くタイプのプログラムを実施して労力と予算もそれらに再配分しました。

    結果

    優れた結果が出ました。アナリティクスの推奨実行の6ヶ月以内で対象ブランドのコンプライアンスは大幅に改善し、それだけで利益は6,700万ドルも増加し、CFOは大満足でした。

  • 広告予算は潤沢で受賞もしているのに成長が伴わない

    背景

    あるブランドには巨額の広告費がかけられ、広告賞も受賞しているのに業績が伴わず、ブランドチームは改善を迫られていて、ブランド認知、広告認知、ブランドイメージと特性、広告内容想起、ブランド順位と好み、広告効果測定などなど、すでにたくさんの一次調査を実施していました。広告費支出についても情報があり、主な競合と同等の投資レベルであることを認識していました。にもかかわらず、その治療領域において重要な位置づけを持つブランドの広告活動はいつまでたっても市場シェアの拡大に寄与することができませんでした。

    プロセス

    チームはユーラリスの広告アナリティクスを使ってこれらの問題の解を見出そうとしました:

    • メッセージの効果、メディア全体における差別化と露出頻度
    • 処方行動と市場シェアに対する広告の影響
    • 何を変えるべきか?
    • 広告代理店の結果

    このブランドの広告を内容・テーマ、表現、露出頻度、個別のキャンペーンと心情的要素に分けて分析しました。その結果、すべての疑問に対する答えを提示し、広告が訴求するべきトピック・テーマを明確にし、表現に問題があったのでそれを修正して広告の効果を改善させ、利益を向上させ、そのために必要なメッセージと表現の変え方も教示しました。

    結果

    6ヶ月後のフォローアップ調査で広告内容のインパクトが改善して効果が増大した結果、広告変更による市場シェアの拡大が3.5%に達しました。

  • ライフサイクルの初期だが競合より成長が低い

    背景

    あるブランドが上市後2年経っても成長が思わしくなく、大きなシェアを握る競合ブランドが継続的に良い結果を出していました。あらゆる分析を試みたのですが、なかなか状況が改善できずにいました。

    プロセス

    ユーラリスのアナリティクスが実行され、それまでの分析では把握できなかったブランドの成長障壁要因が判明しました。この分析結果にもとづいて推奨と行動計画が策定されました。

    洞察

    このブランドの治療領域ではすべての製品が有効性が高いとされているため、チームはあえてそこに焦点を当てていませんでしたが、一方で主要な競合は有効性を強く訴求しており、その恩恵を受けていました。さらにはこの糖尿病領域ではマネージドケアのわかりにくい、しかし重要な問題が判明しました。チームはこのブランドの償還率は約80%だと思っていたのですが、アナリティクスによるとそうではないとの結果が出ました。そこで社内監査を実施してみると、やはり94.8アナリティクスの分析結果が正しく、償還率はそんなに高くない事がわかったのです。

    結果

    ブランドメッセージの焦点を推奨通りに変更したことで2ヶ月以内に市場シェアは2倍となり、マネージドケアの償還率を上げた6ヶ月後には市場シェアはさらに50%拡大し、売上げは2億4,900万ドルに達しました。

  • 能力不足のMRと市場シェアの頭打ち

    背景

    あるプライマリーケア製品は混雑する市場においてもシェアを獲得しており、2年前までは順調に成長していました。ブランドチームは詳細なフォローアップ調査を含めた1次市場調査を何度か実施していましたが、シェアはなかなか伸びませんでした。

    チームが実施した処方意図調査では、医師はこのブランドをこれからも処方するつもりだと述べているのですが、売上げは伸びません。最終的にチームはこれまでとは違う手法で業績を測定して、より実行可能な提案につながる真の処方要因を探る事にしました。

    プロセス

    ユーラリスのアナリティクスを実行したところ、営業活動は現在の市場シェアを裏付けており、市場調査でも処方意図ありとの結果が出ていましたが、そのままでは今後のシェア拡大にはつながらないことがわかりました。ブランド全体の分析結果を見ると、製品メッセージはそれなりに浸透していたものの、プロモーション活動が製品のキーメッセージを伝えきれていないことが判明しました。つまり現在のシェアを維持できても、今の予算配分のままでは今後のシェア拡大が見込めないということです。

    ユーラリスのチームは以下の分野に注力しました:

    • キーメッセージを伝える上でMRは効果的か?
    • キーメッセージは競合に対して差別化できていて効果的なのか、それとも変更が必要か?
    • 実際の処方行動を変えるために最も影響を与えるメッセージはどれか?
    • 営業用の資材は適切なメッセージを提供しているか?
    • コール頻度と焦点は適切か?
    • 市場シェア拡大により重要なのはディテーリングかプロモーション活動か?
    • 競合のMRの活動はどこがどう違うか?

    洞察

    メッセージの焦点、MR活動、ディテールエイド、そしてコール頻度に関する推奨が提示されました。より具体的にわかったのは、MRはメッセージを伝えてはいたけれども、主要な競合との違いを効果的に訴求できていなかったという点です。またMRはその製品のターゲット患者像を提示しておらず、医師が明確に患者を想定できていなかったこともわかりました。

    結果

    市場シェアが3%拡大しましたが、重要なのはMR活動を変えることで、確実に市場シェアに影響を与えるということを認識するようになったことです。

  • マーケティング予算増にも関わらず市場シェアが減少

    背景

    成功したブランドがここ数年下降気味でした。減少をくい止めるため活動費を競合のほぼ2倍に増加しましたが、減少は止まらず、市場シェアも変わりませんでした。かなりのROI分析を実施した上で予算配分を検証したつもりだったのに、混乱は深まるばかりでした。実際この時期はこの治療カテゴリーと業界全般的に大きな変化がおきていた時で、従来のROI分析で予算配分を決めるのはそもそも無理がありました。

    プロセス

    ユーラリスのシステムでこのブランドと競合を分析し、注力を予算をどこに向けるべきかを様々な観点から模索しました。例えばどのキーメッセージがブランドの業績に最も影響を与えているかや、MRがディテーリングの際にどこに最も時間を費やすべきかなどがわかりました。またどうやって処方に影響しないコミュニケーション活動からより影響を与える活動へと予算を再配分すれば良いかも提示しました。

    洞察

    市場シェアを最も拡大する可能性のあるメッセージにあらためて焦点を当て、

    • マーケティング労力をアナリティクスの推奨する分野に再配分し、
    • 今までのディテーリングと異なる点を強調するようMRを教育し、
    • システムの推奨する予算配分を実行しました

    結果

    ここ約3年間、このブランドの市場シェアはずっと減少し続けてきていましたが、最初の分析から6ヶ月後に0.8%拡大しました。さらにその後もシェアの高いレベルが継続され、そのまた6ヶ月後には2.2%のシェアを達成、その後も成長は続きました。

  • 新製品の上市に伴って既存製品の市場シェアが減少

    背景

    収益性の高い治療領域で主力製品が90年代に上市され、その企業にとってのスターであり、市場でも高く評価されていました。しかしここ数年、業績が低下してきました。毎月市場シェアが縮小し、理由もわかりません。良い製品で強力なチームが担当しており、計画、説明責任、実行力ともにしっかりしていました。事業部門はKPIにもとづく詳細な財務報告をし、フォーキャストも見直しました。チームはさらに支出を増加し、どの競合と比べてもほぼ2倍もの予算を投下したにもかかわらず、市場シェアは減少するばかりでした。

    プロセス

    ユーラリスのアナリティクスがまず問題を特定しました。このブランドは高く評価され、多くに好まれてはいましたが、その他多くの小規模な競合に少しずつシェアを盗まれていたのです。分析により、改善できる3つの興味深い分野が明示されました。

    洞察

    ひとつめの注力すべき分野がメッセージです。チームが開発したコアメッセージはたくさんありすぎて、MRその他のコミュニケーションチャンネルすべてにおいて的を得たメッセージを伝えるためにはもっとドライバーとしてのメッセージに絞り込む必要がありました。またコミュニケーションチャンネルの内、ターゲットとするセグメントにとってドライバーではない一部のチャンネルに予算が過剰に費やされていたことがわかり、それらのマーケティング活動の支出を抑え、ドライバーであるその他の会議プログラムなどの活動に再配分することでコスト削減もできました。

    結果

    その6ヶ月後、アナリティクスを再度実行しました。推奨を実行したことでブランドは市場シェアを1.7%拡大させたのですが、これはここ数年で初めてのシェア拡大であり、同時に全体の予算削減という結果も出せました。